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世界に向けた環境モデル都市形成の拠点「品川シーズンテラス」誕生

「光」「風」「水」「緑」といった自然のエネルギーを活用する仕組みを随所に盛り込み、3.5haの広大な緑地を隣接させることによりヒートアイランド対策に有効な「風の道」を確保すると共にオフィスワーカー・近隣住民の憩いやレクリエーションの場を提供することにより持続可能な街づくりを実現させる「品川シーズンテラス」が2015年5月28日(木)に誕生した。

緑とつながり、街とつながり、世界とつながる、進化を続ける品川に新たなシンボルが誕生

リニア中央新幹線の始発駅や品川~田町駅間に山手線新駅の設置が決定するなど、新たな国際ビジネス拠点として将来性が高まる品川エリアに誕生した「品川シーズンテラス」。

地上32階建て、国内最高水準の環境配慮型ビルは、国内最大級の1フロア1,500坪のオフィス、企業活動を支えるカンファレンス、新業態・東京初出店を含む約20店舗が出店する、品川港南エリア最大級の商業ゾーンより構成される。

敷地内には、東京都下水道局の芝浦水再生センターの地上部分を活用し、ふれあいやにぎわいを生み出す3.5haの広大な緑地が整備されている。人と人、都市と自然が多彩にリンクする心地よい空間として、訪れる人に潤いを与えるとともにコミュニティを育む場となり、地域社会との繋がりを拡げることを目指している。今回、品川シーズンテラスのデザイン設計に関わった2人に話を伺った。

品川の自然を活かし国内最高レベルの環境性能設備

「環境配慮はどのビルでも必須。でも、実現したことは特別」と建築設計を担当した大成建設株式会社の井深さんは語る。

世界に向けた日本の環境モデル都市の中核となるよう、品川といった場所ならではの自然を活かし国内最高レベルの環境性能設備を盛り込んだ。
自然光をビル内に導くスカイボイドや、下水熱エネルギーを利用した空調設備、再生水の利用など、快適性と省エネルギー性能を高める工夫が施されており、東京都建築物環境計画書制度において、建築物の熱負荷の低減率(PAL 低減率)及び設備システム全体のエネルギー利用の低減率(ERR)に関して、いずれも最高ランクのAAA(段階3)評価を得た。また、北側の外構は港区の公園と一体化したデザイン設計を行うことで広大な緑地となり、地球温暖化対策やヒートアイランド対策に効果的な「風の道」を確保している。

他の特長の一つは「視覚化」させたこと。環境配慮と言っても利用者からすると実感しにくい。そこでオアシス空間を演出する「エコ広場のミスト」、太陽光発電量などが数値把握できる「デジタルサイネージ」、太陽光をビル内まで取り込んでいる「T-Soleil(ティーソレイユ)」といったように誰が見てもわかりやすく視覚化させることで、利用者が理屈ではなく肌で感じることができるようにした。実はそういったことがとても大事だったりする。

自然を体感するようデザインされた商業空間

コンセプトは、「オフィスビルの足元に、公園と繋がる“土間”を創造」と内装デザインを担当した株式会社乃村工藝社の城土さんは語る。

品川シーズンテラスは、エントランスから建物の奥にかけて徐々に高くなる傾斜の上に立っており、商業施設が集中している2階部分は奥にある3.5haの広大な緑の公園の部分と地続きになるイメージで内装デザインしている。

内装の壁・天井・床には、コンクリートブロック、土間っぽい土、古木といった公園をイメージするマテリアルをふんだんに使用し他にもアート作品が多数飾られている。しかし、作品名や説明といった情報は一切無い。それは利用者が主役であり作品などが主役ではないからだ。結果として利用者がリラックスして利用できる温かみがある自然空間が実現し、居心地が良い空間となっている。
こうしたコンセプトは「仕事を行うオフィス空間は生涯の時間を多く過ごす場所なのに本当に居心地が良い空間なのか?」といった問いからはじまったと話す。品川の駅周辺はオフィスビルが立ち並ぶため、働く人の街といったイメージがある。そのため地域に開放された公園、遊び場といった場所が少ないので、みんなが集まる場を造りたいといった想いで創り上げた。利用者にとってこの空間が食事をするだけでなく、色々なことを語り合いたくなる居心地の良い場所になって欲しいと語る。

「自然と共に生きる」ということ

オフィスビルは働く人が利用するが、地域社会の一部でもあるため色々な人たちが訪れる接点が生まれる場(緑地など)が必要である。

休憩時にリフレッシュルーム利用ではなく、外に出て緑や風を感じながらコミュニケーションをする。食事の時も店内レストラン利用ではなく、緑地の芝生の上でアウトドアしながら食事をする。そして、照明の光だけで仕事をするのではなく時には窓を開けて光や風を五感で自然を感じる。数値結果として出ているわけではないが、これらは仕事する人たちに良い影響があり、良い結果が生まれるのではないだろうか。

そうした結果、みんなが「地球環境を守ろう」と高らかに声をあげるのではなく、いつの間にか自然を取り入れた働き方や考えで生活していって欲しい。こうした想いを事業主や関係者のみんなと共有できたからこそ、世界に向けた環境モデル都市形成の拠点となる「品川シーズンテラス」が誕生できたと今回取材に応じてくれた2人は考えている。

オフィスビルが利用者と地域住民がお互いを助け合える関係性を作っていく場となることは、これからの時代とても大切なことではないだろうか。